お知らせ

かがわ里海サロン第三夜 広島大学名誉教授・松田治氏 講演会を開催しました

2026年6月19日、かがわ里海サロン第三夜を開催しました!

場所は、うみまち商店街2階の「SICSサステナブルラウンジ」。

ゲストは、日本の里海研究を長年にわたり牽引してきた、広島大学名誉教授でかがわ「里海」づくり協議会アドバイザーの松田治(まつだ おさむ)先生です。

「里海」を日本・世界へ広げた松田治先生

里海サロンに登壇する松田治先生

「里海」とは、自然と人間とが調和的に共存している豊かな沿岸地域のことを指します。

松田先生は、2003年から国内の里海づくりを先導し、2010年のCOP10では「Satoumi」を世界共通のビジョンとして発信してこられました。

講演内容1:かがわの里海づくりと松田先生との関わり

瀬戸内海は、高度経済成長期には赤潮の多発などで「瀕死の海」と呼ばれていました。

その後は排水制限などで赤潮は減少したものの、漁獲量の減少や人と海の関わりの希薄化など、現在でも課題が残っています。

かがわの里海づくりは、行政・大学・地域団体が連携しながら進められています。その取り組みは、松田先生が執筆に関わった2007年の著書『瀬戸内海を里海に ―新たな視点による再生方策―』を礎に歩みを重ねてきました。

2013年に策定された「かがわ『里海』づくりビジョン」も香川県民の間に広がつつあり、現在では様々な個人や団体が、ビーチクリーンアップやツアーなどで海に関わったり、持続可能な豊かな海を守るための研究を行ったりしています。

松田先生が執筆に関わった、里海に関する書籍

講演内容2:県外・国外の里海づくりにも携わった松田先生

松田先生が関わってきたフィリピンやメキシコでの里海づくりや、青森駅近くに整備された人工干潟「あおもり駅前ビーチ」、岡山県の里山・里海づくりコミュニティ「岡山サステナブル里山里海ユニバーシティ」など、各地のユニークな取り組みを教えていただきました。

里海づくりにはたくさんの人が関わることが効果的。そのため、「誰もが楽しく参加できることが重要だ」と松田先生は語ります。

講演内容3:地球規模の視点から見た「海の危機」

講演後半では、スケールが一気に地球規模へ。

松田先生は、ご自身が南極やスバールバル諸島など世界各地を訪れた経験をもとに、氷河の縮小や海面上昇など、気候変動の現状をリアルに伝えてくれました。

海は地球温暖化の影響で「海水温上昇」「酸性化」「貧酸素化」が同時進行するトリプルパンチに瀕しているそうです。

一方で、香川県でも実践されている「藻場」を活かした温暖化対策「ブルーカーボン」の仕組みも解説いただき、「Think Globally, Act Locally」の必要性を改めて認識しました。

司会進行・かがわ里海ガイド協会事務局長の森田(左)と松田先生(右)

「豊かな海」の先にあるものは「豊かな暮らし」

「海に関心を持つ人を一人でも増やすことが大切。若い人が海に行かないのは、海が嫌いなのではなく、きっかけがないから」と松田先生。

里海づくりは、世界規模の自然にも繋がる大きなテーマと捉えることもできます。だからこそ、仲間と楽しみながら、息長く続けていくことが大切なのかもしれません。「海離れ」をできるだけ減らせるよう、いろんな人を巻き込みながら活動を広げていきたい——そんな思いを新たにした一夜となりました。

講演の後は食事と質疑応答

当夜の食事は、「発芽玄米のサラダご飯」や「瀬戸内レモン鶏焼き」など、旬の食材を使ったメニューが並びました。

食卓を囲みながら語り合う時間も、里海サロンならではの豊かなひとときです。

参加者からは「松田先生のフィールドの広さに感銘を受けた」という感想が寄せられ、続いて活動中に苦しかったことについて質問が挙がると、松田先生は「南極で遭難しそうになるなど大変なこともあったが、何とかなった」と穏やかに語られ、そのお人柄から先生のスケールの大きな世界観を垣間見ることができました。

松田先生、ご参加のみなさん、ありがとうございました!